第149章

北村誠は少し驚いた様子を見せたが、すぐに笑顔を取り戻した。「そうですか、もう一度確認してみます」

彼は再びその書類を手に取り、続けて言った。「修正してから見せます」

北村健は何も言わず、黙認した形だった。

北村誠は書類を持って部屋を出て行き、北村健はネクタイを緩め、シャツの上二つのボタンを外した。

彼の顔からすべての表情が消え、黙ったまま会議室に座り、視線はどこか遠くを見ているようだった。

高橋小春がノックして入ってくるまで。

「北村社長、昨日お電話がつながらなかったので、クライアントとの対応は私が行ってきました。すべてまとまりました。こちらが契約書ですので、ご確認ください」

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